からだとあたまからこころまでほぐす、セラピストAsacoの日々の徒然。

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こころがちょっと疲れた時に、からだが不調を感じる時に。
ひだまりのようなひとときを。

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2014年10月23日木曜日

「アムリタ」

アムリタ


吉本ばななさんの「アムリタ」を読んでいる。

どこかのココロの記憶の隅に、ずううっとひっかかってた本。

最初の数行を読み始めた時、これはなんだ、と思った。

歳の離れた弟。そして、妹。突然の死。
ある出来事をきっかけにできてしまった、
わたしとわたしの記憶の間にあるもの。

設定は違うけど、主人公のきょうだいの構成や、
シチュエーションが、妙に自分とシンクロする。
ボタンを掛け違えたパジャマを着たまま、夢を見ているようだ。
奇妙な感覚。

胸かどこかがつっかえるような、懐かしさがまだ切ないような、
泣きたいような気持ちになる。
このまま読みすすめたくないような気持ちと、
ずーっと読んでいたい気持ちとが、
相反する。

吉本ばななさんの文章は、やさしくてせつないあたたかさが、
奥底に横たわるかなしみをつつんでいる感じがして、
じわり、じわりと胸にくる。

文中でも、亡くなった妹を思い出させる本を探すシーンがあったように、
主人公と弟のやりとりを読んでいるうちに、
弟が幼かった頃の思い出が浮かんでくる。

小学校3年の頃、弟が親の財布からお金を盗んだ事があったっけ。
確かその時は、祖父の葬式があって、ばたばたしていて、
誰も構ってあげられなかった頃だったな、とか。

ワタシが学生の頃、親の代わりに弟のキャンプについていったよな、とか。

ぽつぽつと、思い出す。

この主人公に、ワタシ自身を重ねている。
こんな風に本を読む感覚は、初めてだ。

多分、少し前に手に取っていたら、苦しくて読めなかったし、
もっと前では、この本のから読みとれるものは少なかったかもしれない。
今だから、読める本。今だから、読み取れるもの

出会うべくして出会うものは、しかるべき時を選んでやってくる。
そんな気がする。